ダイヤモンドダスト(再掲)

寒風吹き込むその日、初恋のあの人と再会した。成長した彼女を見れた嬉しさの反面、自分の手に入れたかったものはことごとくその手からこぼれ落ちてしまう、世界の当たり前のシステムを再確認し、辟易する。挑発的な流し目を使い慣らすその姿は、男を知った証拠。それでも頰の皺が重なり目を隠すほどのあどけない笑顔は、昔から知る彼女そのものだった。

「今は、なんのゲームしてるの?」

僕との会話のキャッチボールを続ける唯一の方法は、ゲームの話題を投げかけることであるのを、彼女は覚えていた。

「モバイル、、、レジェンド、、」

まるで隠し金庫の在り処を吐く被恐喝者。あまりにも道端でかわす会話の声とは掛け離れた声色を乗せた僕の返答に空気は凍った。

(あっ死にたい)

凍ったかに思えた空気は陽光とも思える光に瞬時に照らされ、極度に熱せられ、そして気体へと昇華する。その現象の正体は、隣にいる彼女によるものであることは僕が証人だ。

「やってる!一緒にやろ!」



嘘か本当かわからない、本当の物語。


#モバレ文学